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Made in me.を追いかけた
正直、今回は当たりを感じている。それほどまでにMade in Me.の音楽は確信めいたものがある。それは業界云々を無視しても感じられること。
「売れる」の実態は僕はある種「匂い」があるかどうかだと思う。それはリスナーが感じる期待感であったり、夢を見させてくれる可能性を秘めているという目に見えないけど実体として在るというイメージ。
そんなちょいMUSICAっぽいスタートを切った今回はMade in Me.の制作ドキュメンタリー2回目。
彼らの楽曲「soleil」の育てる編を追いかけました。
前回の記事はこちら
僕らはスタジオの大半は話し合いに使ってるんです
雨が土砂降りの中、彼らがいつも入るスタジオに向かうため、僕は関内駅に降り立った。スタジオの近くで食べた蕎麦屋のカツ丼がうまかった。すでに関内の人たちにとって、いいカモだ。
そしてスタジオにたどり着くと、メンバー全員が入口の喫煙所で話し合っていた。僕は開口一番に聞いたのが


驚いた。
確かに話し合いの時間を取ることは重要だ。だがスタジオはやはり限られていて、あまり料金も安くない。日本は演奏できる場所はある程度限られている。その中であえてお金を支払って、話し合いに時間を使うことはメンバーの意識としても大事なのかもしれない。
それでは遠慮なく、彼らのこれからの活動についても聞かせてもらった。

超実験思考的バンドのアイデア







彼らが度々インディーズシーンで話題に上がるのはこの企画力にあると感じた。
インディーズシーンでは「売れる・売れない」を気にしすぎるあまり、イベントを組む際に「集客」に注目して、内容は普通の対バンと変わらない。
これはあるある。演奏時間伸びただけで、特に演出はいつも通り。
集客は人間でいう「ライブの見た目」であると思う。
もちろん、ライブやバンド、その他のイベントにとって、集客というのは大事なのは間違いない。
きっとこれを読んでいる人の大体は人を見た目で好きになるタイプも多いはず。そうでしょ?僕はそう。
しかし、ライブのもっと原始的な部分。そう、音楽という物が誕生した時を考えたら「観客の満足度」が一番、重要なのではないだろうか?
我々、人類がまだ猿だった頃にも音楽はあり、そこで「ウォ、ウォおおお」みたいなことを言って陽気に踊れば、そこはライブ会場だったわけだ。もはやフジロックの原点がここにあったのかもしれない。
どれだけ時代が進んだとしてもこの「満足度」の高いライブほど観客のリピート率が違ってくる。
彼らは挑戦と併せて、とても観客の真理に近いところを突いてくる企画を考え、試す。
そして、彼らは「soleil」の制作に向けて、スタジオに入った。

全員が別々の楽器を持って空気感をつかむ
スタジオに入り、それぞれがデモ音源を確認しながら制作を進めていく。
彦の「一回、合わせてみよう」という提案の元、制作はスタートした。スタジオ当日は霧雨がずっと降っていて、湿度が高い1日だった。その天気みたいにダラっとした雰囲気で始まった。
じゅんちゃいがギターでsoleilのリフを弾く。この時点で前回の雰囲気からすでに様子が違っていた。
心地いいグルーヴ感があり、スタジオライブが始まったかのような空気、僕は自然と膝を曲げてフジロックよろしくと言わんばかりにノッテいた。
1曲通してからは各バースに沿って、楽曲をつくりあげていく。サビの部分で彦が中断し、Drのゆかりに「ピッチが合ってない」と指摘する。
彼は演奏中も一人一人の音を確認し、そして気になる箇所になると止める。少し空気はピリつくが、制作の現場とはそういうもの。どうせならプロデューサー顔でそれっぽい雰囲気作ろうと思い、バンドを見ていた。

ピッチを何回か確認したあと、曲は何度も繰り返された。僕は何度も踊った。
途中でメンバー全員が度々、楽器を交換する、彦はドラムへ、じゅんちゃいはベース、優作はギター、ゆかりはボーカル。どうやら彼らの中ではこれが普通らしい。

そう言ってしばらくはワンコーラスを延々と繰り返して演奏していた。その間に最初はルート通りに弾いていたベースが色をつけ始める。リズムパートはある程度の形を見せ始めた。

メンバーに指示を出す彦
海街diaryみたいな世界観をイメージして

ここからは前回同様、彼らは集中モードに入る。もうすでに僕ら取材班はいない者だった。制作に煮詰まる時間を作らない彦はまさに積み木のように楽曲を組み立てていく。そんな中で全員が演奏している顔が険しくなってくる。
当然、作る上ではよくあるこの現場の空気。演奏だけをしていた彦は途中でコーラスワークに力を入れ始めた。
彼らの音楽は全員が声を出す。使える楽器は全て使う。それはメンバーの体一つとってもそう。
次第にメンバーの表情に痺れを切らした彦はこの曲のイメージを伝えた。

いやめちゃくちゃ具体的やん。
そう思った瞬間、僕は心の中にグッと飲み込んで見守った。そう、何故なら彼らにはもうすでに我々は見えてないからだ。集中力が切れたら戦犯者だ。
彦が楽曲の雰囲気を瞬間、メンバーの顔が明るくぱあっと晴れた

彦のラップにじゅんちゃいと優作が隙間を埋めていく、そしてサビになった習慣にゆかりの歌声が抜けてくる。
このバンドはバンドサウンドになる瞬間を見たとき、一気に底が見えなくなる。




特に僕が驚いたのはじゅんちゃいがメンバーそれぞれの楽器を一周して、自分のギターに持ち替えたときに、初回とはまったく違う空気を醸し出していた。それはベースラインを考えたりして合間を縫うことで隠れていたリフのニュアンスが際立っているようにも感じた。

掴んだ空気、それはMade in Me.にしかわからない
スタジオも終盤に差し掛かってきた頃。僕はすでにスタジオライブに遊びに来ているかのような錯覚を起こす。
それはこのsoleilという楽曲が持つ、ドープな空気感に酔っていたからだ。彦はリリックを考える為に、メンバーに延々と演奏をするように指示を出した。

座りながら歌詞を考える彦
海街diaryで覚えているところは正直、長澤まさみが序盤、下着で着替えているシーンだけで他は頭に入ってこなかったのだが、何となく広瀬すずが田舎道を自転車漕いでいる姿は想像できる。
soleilの歌詞の中にこんな一節がある。
山 川 俺たちのpassword
from 東のunderground
ほぼ英単語を使っているのに、この和な雰囲気を感じるのはきっと僕だけじゃないはず。だからこそいいのだ。これが日本流のドープなのだ。

話したいこと、たくさんあるけど次回で最終回
思いつきで始めたこの企画だが、僕は確実にこのバンドのファンになっていってる。
この楽曲が果たしてどこに向かうのか、そしてどのような形で作品になるのかは見ていたい。実際にヤジワンマンの際に初披露されたこの曲だが、泣いている観客もいたということだけは伝えておこう。
早く音源にしてもらいたい。これはもう完全に個人的な願望です。
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